今回集まったのは、コスモ石油(株)中央研究所石油精製プロセスグループの佐々木(グループ長)、髙橋(2019年新卒入社)、鈴木(2020年新卒入社)。石油精製プロセスグループには約30名が所属しており、脱硫触媒などの開発や、装置の運用・適正化に関する研究、製油所の高機能化や廃プラスチックのリサイクル研究など8つのテーマにおいて研究を推進している。

中央研究所という職場において、若手はどのような仕事に向き合い成長しようとしているのか。グループ長が若手社員をマネジメントする上で、大切にしていることとは。

8つの研究が進む石油精製プロセスグループ

髙橋:私は学生時代に石油系の触媒の研究をしていました。せっかくなので勉強してきたことを仕事で活かしたいと思い、石油業界での就職を希望していました。業界トップではない会社だからこそ新しい挑戦がしやすいと思ってコスモへの入社を決めました。

鈴木:私は石油ではなく電池の研究をしていました。脱炭素の流れの中で、エネルギー会社の中であっても石油以外の研究がより一層進んでいくだろうと感じていました。自分が携わってきた異分野の研究がコスモという会社で活かせるのではないかと思い、コスモに入社しました。私自身「研究」を続けたかったので、中央研究所で仕事ができていることを嬉しく思っています。

佐々木:私は、新卒ではベンチャー企業に入社し大学との共同研究をしていました。次に大手メーカーで機能性部品の開発に携わり、2018年にコスモにキャリア入社しました。前職の部品開発の際の分析技術はコスモの中央研究所の分析センターの技術に合致する部分があり、自分が今までやってきたことを更に活かせる環境ということでコスモに転職しました。入社時は、中央研究所の分析センターで、その後分析センターで1年間センター長を務め、その後2021年度から石油精製プロセスグループのグループ長を務めています。

髙橋:佐々木グループ長は別の会社から入社してこられた中で、8つの多岐に渡る研究テーマをグループ長としてまとめる役割を担っていて尊敬しています。

佐々木:いやいやそんな(笑)。私からすると髙橋さんも鈴木さんも、部署の中での経験は私よりも長いですしある意味先輩ですね。それぞれの研究テーマにおける専門性は非常に高く、グループの皆さんはとても頼りになる人たちばかりです。グループ長という立場としては8つのテーマそれぞれに対して研究が順調に進んでいくように、トラブルがあれば即座に対応しサポートしていく役割だと思っています。

技術者にこそ求められるコミュニケーションの力

髙橋:製油所の装置に入っている触媒の研究をしているのですが、これまで長らく現在の触媒の性能を上回るものが見いだされていませんでした。配属されてから約3年の中でより良い性能の触媒を見つけることができ大きな変化に立ち会えたことは、研究をしている上でやりがいを感じた瞬間でした。

鈴木:研究という仕事なので、やはり日々新しい知識を得たり新しい経験を積めたりすることに一番やりがいを感じています。今私はFCC装置の運転適正化に向けたFCC触媒の研究をしているのですが、その業務を通じて石油精製全体のフローを学ぶことができています。また、今思えば大学時代は1人で研究をしていた時間も長かったのですが、会社に入ってからは誰かと協力をして進める仕事が多く、大きな違いを感じています。研究の規模も大きくそれを早く現場で活かすという目的があるので、コミュニケーションや調整というスキルをもっと高めていかなければいけないと感じています。

佐々木:私は石油精製としての知識はまだ少ないのですが、社会人としての基礎力となる部分について若い人たちが習得していくサポートができればと思っています。技術という仕事ではありますがやっぱり大切なのは「コミュニケーション」の力です。どこにいっても必要とされますし、役に立つ力です。「データ上はこれが正しい」「研究所の中では間違いなくこうなっています」と主張するだけでは、他部門とのスムーズな連携は実現できません。どんな会話を紡ぎどう説明していけば、一つのチームとして連携していけるのか。研究者にとって、コミュニケーションはとても大事なスキルだと思います。

安全を守るために、風通しのよい研究所を

佐々木:このコロナ禍の中で、研究所なので全員テレワークということはないのですが、そうは言っても会える頻度は減っていて、みんなでごはんを食べにいこうという機会を作ることがなかなか難しい状況になりました。現在グループの中では毎朝オンライン朝会を実施しています。モニターをオンにして連絡事項を共有したり、それぞれの研究や安全に関する話題を出してもらったり。グループ内で、なにげないコミュニケーションを取りやすい環境をつくることを意識しています。

鈴木:佐々木グループ長は約30人のメンバーがいる中で、すごく一人ひとりを見てくれているという感覚があります。雑談として話しかけてくれることも多く、よく全員と個別の話題で話せるなぁと驚いています。そういったことをして下さっているので、私や他のメンバーからもグループ長に話しかけやすい雰囲気が醸成されていると思います。特に、実験での不具合や装置のトラブルなどうまくいかなかったことを即座に報告・相談できるのは、このグループのすごくいいところなのではないかと思います。

髙橋:そうですね。佐々木グループ長が頻繁に声をかけてくれるので、その文化は各研究テーマのリーダーにも広がっていると思います。テーマリーダーもそれぞれ各メンバーに積極的に声をかけてくれるので、何でも報告・連絡・相談がしやすい環境です。

佐々木:自分の行動がつぶさに観られているのは恥ずかしい気持ちですね(笑)。でも意図が伝わっていて嬉しいです。私たち石油精製プロセスグループは、通常の実験設備の他高圧ガスを取り扱うベンチプラントがあり、一歩間違えれば大事故が起こりかねない部署です。何よりも安全が第一なので、「何か困ったことや異常があれば、すぐに報告・連絡・相談ができる風通しのよい部署を」というのは私が目指すところです。

鈴木:実際に、佐々木グループ長から「報告をちゃんとしなさい」と強く言われるようなことはないですね。朝会や普段の会話を通じて報告がしやすい空気を部署全体につくってくれているように思っています。尊重されていることを感じますし、その思いに私たちは行動で応えたいと思います。

「白黒つけられる技術者」を目指して

佐々木:今後に向けてというところでいくと、「白黒つけられる技術者」に成長していってほしいと思っています。私がベンチャー企業で大学と共同研究をしていた時、大学の先生とお話する時に「それは事実なの?推測なの?」と非常に厳しくご指摘を受けていた時期がありました。当時は厳しいなぁと感じていましたが、今の立場だとその重要性が分かります。企業での研究は一人でできるものではないのでさまざまな連携が非常に重要です。コミュニケーションをとる際に曖昧さを残さず、正確に伝えられることができる技術者が信頼されますし自分自身の正しい現状把握にも繋がります。

髙橋さんも鈴木さんも、まだまだ若くて可能性にみちあふれています。ご自身の研究によって製油所の現場がガラリと変わることも、業界自体に新しい方向性を示すことも可能だと思います。その時に、やっぱり研究自体も大事ですが「伝える力」が役に立ちます。たくさんの人に信頼され、巻き込んで、大きな力で動かしていく。そんな技術者になっていってほしいと思います。

鈴木:私は今後自分の研究が、更にスピーディに現場で活かされるような仕事をしていきたいと思っています。研究だけで完結してしまうのではなく、現場で、社会で活かされ、その結果を受けてまた研究開発を進める。人との関わりはどんどん増えていくと思うので、佐々木グループ長がサポートしてくださっている「コミュニケーション」を磨いていきたいと思います。

髙橋:私は、中央研究所にいる間に特定の分野における高い専門性を身に付けたいと思っています。人から頼られ力になれるような技術者になりたいと思います。そのためにも「白黒つけられる技術者」を目指して、成長していきたいと思います。

※本記事中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所などは公開当時のものです。